2018年9月29日土曜日

『kosai-香彩』第7回毎日文化センター受講生作品展

気持ちのよい秋の日でした。
毎日文化センターの講座日で、受講生

作品展の初日でもあり、みなさん荷物
が沢山あるからお天気がとても心配
だったのですが、晴れてよかった。
 
今回で第7回を迎える受講生作品展。
今年のテーマは『Kosai-香彩』。
光彩を香りでという感じで得意の造語
ですが、全作品、香りとともに光輝き
ながら空間を彩っております。ほんと
素晴らしい!!!
皆さんの作品は年々進化していて、毎回
展示された作品に感心するばかり。いやぁ、
皆さん、ほんとすごい!平安時代に
始まった香りで遊ぶ世界観。それを現在の
今の感覚で見事に遊んでいらっしゃる!!!

この作品展でご理解を頂きたい一番
ところは、香りを先に創っていること
です。その香りを立体に造作した作品
なのです。造作ありきで香りを置いて
いるのではありません。
主体は香りの世界なのです!。

それぞれのテーマで創った香りは、
作品の中の様々な場所に置かれて
います。

それではここでほんの一部ですが、
写真とともにご紹介をしてまいり
ます。2枚ずつしか出せてないのが
ちょっともったいないのですが、
是非とも実物を見て頂きたいの
です!!!

創香者:青木明子
銘『秋楽日和2018』
作品:匂い袋

「涼しい風が吹き始めた季節の中で
空想と遊びの世界をお楽しみください。 」

秋をテーマに作品を創り続けている
青木さん。展示されているありとあらゆる
ものをご自身で創られています。バッタと
かは手に入れたものだそうですが、はら
ぺこあおむし的なのやどんぐり、ピーナッツ
のかわいいお人形も全てご自身の手で。
今年はつまみ細工のブーケも登場です。
 

 
創香者:糸永基子
銘『桜に寄せて ―歌舞伎三題―』
作品:匂い袋

『助六由縁江戸桜』 
『義経千本桜より 吉野山の道行』
『仮名手本忠臣蔵より 道行旅路の花婿』
本題の桜各々の微妙な違いにお気づきに

なりましたか?
『助六』 直接桜は出てきませんが、花の
吉原仲之町。揚巻花魁の道中・助六の
出端にも花の雨が降る様じゃぁありませんか?
『千本桜』 吉野山は桜の名所。道行とはいえ、

静御前・忠信の主従が花の中を陸奥へと
落ちて行きます。
『忠臣蔵』 「大事の時にも在り合わせず…」

後段で勘平の切腹へとつながる、哀しくも
美しいお軽・勘平の道行です。
因みに、10月の歌舞伎座夜の部は、
坂東玉三郎の静御前・中村勘九郎の忠信で
吉野山が、片岡仁左衛門の助六・中村七之助
の揚巻で助六が上演されています。

壁使いの女王、糸永さん。今年は歌舞伎を
題材にした愛らしい和紙人形のモチーフを
素敵に配置しての作品です。きれいな桜柄
の手縫いの匂い袋は、それぞれの作品ごと
に柄を変えています。歌舞伎の物語を、桜を
ベースにしたご自身の世界観で新たな作品
として表現されています。
 













創香者:丸山純子
銘『銀河鉄道の夜』より
作品:匂い袋

ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、
そらのすすきの風にひるがえる中を天の川の
水や、三角点の青白い微光の中を、どこまでも
どこまでもと、走って行くのでした。
「ああ、りんどうの花が咲いている。もうすっかり
秋だねえ。」カムパネルラが窓の外を指さして
云いました。線路のへりになったみじかい芝草の
中に。月長石ででも刻まれたような、すばらしい
紫のりんどうが咲いていました。
「ぼく飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗って
みせようか。」 ジョバンニは胸を躍らせて云いました。
「もうだめだ。あんなにうしろに行ってしまったから。」 
カムバネルラがそう云ってしまうかしまわないうち、
次のりんどうの花が、いっぱいに光って過ぎて行き
ました。と思ったら、もう次から次から、たくさんの
きいろな底を持ったりんどうの花のコップが湧くように、
雨のように、眼の前を通り、三角標の列は、けむる
ように、燃えるように、いよいよ光って立ってたのです。
大好きな「銀河鉄道の夜」の一節です。銀河鉄道を
走る軽便鉄道の黄いろの電燈の並んだ車室、
三角標や月長石のりんどう、北十字など、私なりの
イメージを香りと形にしてみました。

回を重ねるごとに、ご自身の世界が広がって
いる丸山さん。いいですねぇ。今回は銀河鉄道
の夜のワンシーンを香りとともに表現。写真だと
わかりにくいというかきれいに出ていないので
すが、キラキラと光る三角点や天の川。そして
実際に咲いているかのようにもうまく創られて
いる香りを放つりんどう。また、本が読みたく
なりました。
 














実際に見て頂けると、香りがありますので、
それとともにそれぞれの描く世界がさらに
楽しめます。竹橋近くまでお越しの際は、
ぜひお立ち寄りくださいませ。
 
毎日文化センター東京は、東西線竹橋駅
直結のパレスサイドビル1F、毎日新聞社1F
にあります。

この作品展は毎日文化センターロビーにて、
10月26日までの開催です。
ロビー展ですので、ご自由にご覧頂けます。
※毎日文化センターの開校時間は

平日10時から19時30分、土曜は15時まで
※日曜・祝日はお休みです。


皆様のご来場、心よりお待ちしております!

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