早いもので、もう、11月も中旬。
この間、ハロウィンが終わったのに、
もう街はクリスマス。そしたら、今年も
一年が終わるのかと思うと、ひょえ~と
思う日々でございます。
さて、和の香りの歴史【弐】です。
平安時代に入ると、途中から遣唐使も
廃止し、それによって国風文化が栄える
ようになってきます。
他国との付き合いもなくなり、自国のことだけを考えていればよいから、以前よりも
公家には時間も出来る訳ですね。
だから~、色恋ごとに頑張っちゃう、まさに
源氏物語の世界に突入で~す。
いかに自分をよく見せ、相手にアピるのか。
いつの時代も同じことで悩んでいることで
しょう。
歌を送ったりしても、相手は御簾の内。
うまくいき、夜の闇の中、忍び込めたとしても、
実は、一体どんな人だかよくわからんとですね。
これ、源氏物語の中でもでも出てきますよね。
相手は、実は恋多きおばあちゃまだったという
オチの。
では、他の人との差別化をするために、
何が一番効果的だったのかと言えば、
それは香りです。御簾の内にいたら、
様子なんかわかりません。夜に忍び
込んでも、灯りなんてないです。闇です。
そんな中、一番最初に認識するものって、
香りなのです。
当時、香原料となる香木や漢方薬は、
日本で取れるものではなく、全てが
今で言うインポートもの。だから、基本に
高価なもの、手に入らないものという
ベースがあります。
つまり、手に入れられるということは、
富と権力の証でもある。
富と権力を持ち、素敵な香りを調香
するセンスを持ち、その香りを実際に
纏っていれば、
「この人ったら、一体どんな人なの~?」
って、相手の好奇心を思いっきり掻き
立てることが出来たっつう、香りとは
なんとも素敵な恋愛ツールの一つでも
あったのです。
ただ、それだけではありません。当時は
香りで邪を避ける、浄めるなども考えられ
ていました。かなり大きなサイズの匂い袋
思い浮かべて頂きたいのですが、それを
部屋に吊るして、訶梨勒(カリロク)という
ものを邪除けに使用したりしています。
(これについては、写真と一緒に別記事で)
ま、何かと言えば方角が悪いと、方違えして
いる時代ですからね。
また、匂い袋も虫除けとして使用されて
いたり、練香を空薫きすることで、お部屋の
香りを変えてみたり。
香りは、日常で使用されていたのです。
衣装に香りを移す方法は、伏籠内に香炉を
置き、上に衣装を掛けます。それだけです。
香炉から芳しい香りがあがりますので、
それが移るのです。基本、直接、体に香りを
つけることはしません。
ただ、当時、女性は一年もの間、髪の毛を
洗うことが出来なかったので、髪に香りを
薫きしめていました。一年も洗えなかったら、
そりゃ、香りも移したくなりますわなぁ、って
心から思います。
他にも『躰身香(たいしんこう)』という飲んで、
香りを体から放つものもありました。かの
楊貴妃も飲んでいたと言われています。
抱いていた赤ちゃんに香りが移る位、香りが
出ていたようです。
現代ですといい香りを体から出すという
物には、ローズの香りのサプリやお菓子
などと同じ考え方のものです。そんな昔
から、あったのですよ。
飛鳥・奈良時代での仏のための香りが、
平安期には自分自身を演出するための
香り、遊びとしての香りという位置づけが
現れ、薫き物合わせなどに進化していく
のです。
薫き物合わせの際は、練香を沈香で
作られた箱に入れたり、瑠璃の器に
入れたりと趣向を凝らし。贅沢です!
源氏物語の中でも描かれております。
でも、本当にすごいことは何かと言えば、
当時の人は、香りの中に世界を見出し、
香りで何かを表現することを雅な遊びへ
と昇華させたこと。これは、他にはない
日本独特の文化となっています。
表現に枠を作らず、常に自分自身を開き、
様々なことを当時の人は、感じていたの
ではないでしょうか。
基本的に平安期の香りは、デコラティブ
ファッションのような、足して、足しての
香り。唐より伝わる珍しい香原料を使って、
様々な香りを調香するのが楽しくて、
楽しくて仕方がなかったんでしょうね~。
鎌倉時代になると、ファッション同様、
香りの文化も違う流行へと移っていきます。
それは、また、この次に!
Music: 『さよなら、夢』-青木孝明
ゆらすかおり 今井麻美子が綴る香りの記憶。それは、香木・沈香、白檀と漢方薬でも使用される香原料で創る物語。 香りを創ることを、五感で感じイメージし、表現する一つのアートと考え活動しています。そんな中での発見やつぶやき、活動のお知らせなどのブログです。
2012年11月14日水曜日
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