2012年11月21日水曜日

和の香りの歴史【参】

和の香りの歴史、参まで来ました。

平安時代の香りは、香原料を足して、
足して、のある意味のデコラティブな
香り。ともかくステキな香りを作る
ことに一生懸命、その研究にも余念は
ない。お陰で、今日があるのです。

ファッションでもデコラティブな流行
の後には、シンプルだったりアース
カラーとかナチュラル感が前に出て
きたりしますよね。今までとは真逆を
いくというか。

香りの流行も面白いように、それに

乗っています。
平安末期からの武士の台頭を経て、
鎌倉時代へと移ります。

舞台は鎌倉。
戦乱も落ち着き、文化的なことへの
動きが出てきます。当時、仏教では
禅宗が流行。今までの雅な世界とは
真逆な、"Simple is the best"な、
削いで削いでの文化へと変化して
いきます。

香りも同じく、香原料の足し算から
引き算へと。つまり、香木のみを薫く、
一木薫き(いちぼくだき)を楽しむよう
になります。

もしかしたら、公家の文化はわからん、
面倒!的なことがあったかもしれない
し、武家の天下となった今、前時代を
否定し、自分達で新しい文化を作って
いくのだ!という意気込みもあったで
しょう。香木を薫くだけの方が、正直、
調香するよりも簡単ですし。もちろん、
香木の香りは素晴らしいですよ!
そこんとこは、お間違いなく。

ただ、調香における香りの表現という
ことは不要になりますよね。
もしかすると、当時の武家にとっては、
そういう部分がよかったのかもしれま
せんね。

ただ、この時代は香木の個体管理を
しておりません。そのため、銘なども
ついておらず。そうなるのは室町に
入ってから。だから、沈香だけの香り
を楽しむとは言え、まだまだ香道には
いたっていないのです。
あくまで、AさんとBさんの持っている
香木、どっちの香りがい~いか?の
比べ合いです。闘香と言います。
平安時代に行った薫物合わせの香木
のみバージョンですね。
その他、十種類の香りを一つずつ
聞いていく十炷香(じっちゅうこう)と
いうものも楽しまれました。

もちろん、従来通りの練香の香りは、
静かに続いています。

私は香木も練香もいずれの香りも
好きです。
香木・伽羅に沈香、白檀の香りは、
それぞれに全く違い、そして、本当に
素晴らしいものです。

また、調香した香りには、そこに
表現や作者の思いが存在します。
それは、まるで香原料が生み出す
人生みたいに。香りから多くのことが
見えてくるのです。

いずれの香りの、豊かな自然がある

からこそ楽しめること。
自然の素晴らしさに感謝です。

香木・伽羅や沈香、白檀については、

また近いうちに。

 
Music: "The Spaghetti Incident" - Guns N' Roses

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