2012年10月30日火曜日

幕末の相撲絵とお相撲さんの匂い

香りの彩時記『序』、和小物・冬支度にご来場
くださいました皆様、ありがとうございました。
この場を借りて、お礼申し上げます。

さて、本日は番付発表の日なので、国技館も
開いており、「そうだ、相撲博物館に行こう」
思い、行ってきました。幕末の相撲絵が展示中
なのです。1866年の番付も一緒に展示されていて、
この2年後には明治維新か~、とか思うと、違う
意味での感慨深さがありました。

廻しは結構シンプルだったんですね。今はスポンサー
から贈られたりするし、広告的な意味もあったり
して派手になってきているのでしょうかね~。
展示作品の中には、初代国貞の作品などもあります。

詳細は、相撲協会サイト内の博物館ページでご確認
ください。土日が休館日だったりしますので~。
http://www.sumo.or.jp/museum/index.html

そして、お相撲さんと言えば、いい匂い!あれは、
髪につけている油の匂い。オーミすき油というのを
使っているそうです。両国では、一部の薬局でも
販売がされているそうで。流石、お膝元!

それ、鬢付け油のこと?って思いますよね。
オーミすき油はその一種で、でも、本来の鬢付け油
ではないのです。鬢付け油とは、その昔、奴凧の
ような髭をピンとさせるために使用されたのが
始まりで、当時は固めるために膠が使用されていた。
だから、ともかく臭い!ので、丁子などを用いて
香りを整えたと。

膠で固め、香原料で香りを整えた物には、お習字の
墨も上げられます。こちらには龍脳という龍角散
にも使用されている香原料が入っています。す~っ
とした清涼感があります。

江戸時代、丁子の人気は非常に高く。伽羅油などと
言って、両国橋のたもとの広小路に出た市などでは、
販売もされていたり。丁子そのものの香りを試すと、
まず酸味が鼻を突き、ム~、と感じる方が多いの
ですが、後ろにはバニラのような甘さが感じられます。
(食用や漢方薬で使用するものよりも、香りで使用する
ものは、ランクが上なので、香りの強さが違います。
市販されている物で試すと、そこまで酸味は感じら
ないのではないかなと思います。)

以前、蜂蜜に丁子を漬けてみたことがあるのですが、
しばらくするとバニラのような香りがし始めます。
これは丁子がバニリンという成分を含んでいるから
です。バニラビーンズの主成分でもあります。
あ、合成香料でもバニリンというのがありますので、
それとはお間違いなく。

甘いと言えば和三盆の時代。和食を想像してください。
濃ゆく甘い香りというのは、皆無に等しい。そして、
花の香りも日本固有の植物で濃厚な香りってあまり
ないのではないかと思います。
(濃ゆいのは、やはり暑い国のものかと。)
そんな中での丁子の香りというのは、江戸期の人にも、
何とも言えないものだったのではないのかなぁと思い
ます。

そうそう、お相撲さんは毎日髪の毛が洗えないのだ
そうです。油を使って髷を結うという都合・・・。
以前、床山さんに直接お伺いする機会があり、
「人によって香りが違うように感じるのは、なぜで
しょうか?いい香りとそうでない時があるように
思えます。」と、尋ねしたところ、
「洗髪直後は油がフレッシュだから、いい香りだけど、
徐々に油だから劣化するため、香りが違うように
感じるのだと思います。」と、お答え頂きました!
納得でした~。

丁子の香りがどんな香りなのか、体験してみたい方、
ぜひ、講座にご参加なさってみてくださいね~。

講座の詳細などは、今度、アップたいと思います。


Music: PUNCH THE MONKEY
            Lupin the 3rd; The 30th Anniversary Remix

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